頭の中の日本語

試運転中

神話創造。今、ラナ・デル・レイについて再び考える。

随分ご無沙汰してしまいました。

ラナ・デル・レイが新しいMVをリリースしました。

ずっと忙しくてブログを書く時間を捻出できず、リリースからちょっと時間が経ってしまいましたが、ここ最近のラナさんのビデオが非常に素晴らしいので、彼女についてまた随分色々考えました。


Lana Del Rey - White Mustang (Official Video)

 

ラナちゃんと並んで好きだったラナ世代の女性シンガー達が自己の探求を止めてしまい安穏としたその地位に甘んじてる様に見える中、孤独に精進を続けているラナデル様。

今回のMVも見事です。見ていると痙攣的な笑いがこみ上げてくるのは私だけでしょうか?しかしラナさんは決してウケ狙いで作っていないと思います。むしろ彼女の心のビジョンを非常に忠実に表現しているからこそ、このような面白いビデオになっているのだと思います。

 

今回のアルバムのトレーラービデオも目をみはる物があります。


Lana Del Rey - Lust For Life album trailer

 

最初に載せた「White Mustang」のMVで、彼との別れの後、仁王立ちするラナさんの後ろから垂直にロケットが飛んで行くときも震えましたが、このPVでも自由の女神の炎がパチンとショートしたりと細かな演出に抜かりがなく脱帽です。

 

草むらの中からハリウッド、そしてハリウッドの中にお住まいのラナさんという導入もぐっとくるものがあります。余談ですが、ラナさんは最近、よく「むふっ」って笑いますね。

 

トレーラーに繰り返し現れるアメリカの象徴を見ていて、デビュー当時のラナ・デル・レイがインタビューの最中にコーラを飲んでいたのを思い出しました。

その時はまだ曲「コーラ」の発表前だったので、この健康ブームの最中にコーラを飲んでいるのが不思議で強く印象に残っていました。今回アルバム・トレーラーを見ていて、ああ、コーラはアメリカの象徴だからなのか、とやっと気が付きました。

 

ボーン・トゥ・ダイ ザ・パラダイス・エディション

 

それを機に、ラナデルさんがその活動で目指している場所を考えていました。「BONE TO DIE」で彗星のごとく現れたラナ・デル・レイ。ファーストアルバム発表当時はまだ不安定な感じでその実態がよく見えなかったのですが、「National Anthem」辺りから、今のひな型ができあがってきて、「TOROPICO」と「Born to Die-the Paradise Edition」の2つで彼女の目指すものが明確に見えるようになったと思います。

何度もこのブログで載せていますが、ショートムービー「TOROPICO」です。


Lana Del Rey - Tropico (Short Film) (Explicit)

 

最初にみたとき、「寺山修司の『田園に死す』???」と思いました。

マリリン・モンローエルビス・プレスリーが黄泉の国(本当はエデンの園なのですが)みたいなところでなんとも言えない気持ち悪さで動いていて、やばいラナちゃん本物だった!と思ったのでした。

 

映画はジョン・ウェイン最高神です)に許しを請いているところから始まります。そしてアメリカのイコン達のお告げのあと「ボディ・エレクトリック」を歌います。

(そのお告げの間に変な電波音が入っていて、お告げ感がやたらリアルです)

「ボディ・エレクトリック」は歌詞の中にも名前が出てくる「ホイットマン」の詩「I sing the body electric」へのオマージュでしょう。これ気になってしまって、詩集を買ってしまいました。

 

おれは電熱の肉体を歌う(抜粋)

 

おれは電熱の肉体を歌う

おれの愛する者たちがおれを包みこみ、おれもそいつらを包みこむ、

そいつらはおれを離してはくれない、おれが頷くまで、応えるまで、

清めてやるまで、そして魂の電力でいっぱいに帯電させるまで。

疑いなどない、自分自身の肉体を穢す者は臆病者だということに。

そして、生ける者を汚す者は死せる者を汚す者ほど悪いということにも、

そして、もし肉体が魂ほどの働きをしないなら、

そして、もし肉体が魂でないとしたら、魂に意味などないということも。

 

「おれにはアメリカの歌声が聴こえる −−− 草の葉(抄)より」

おれにはアメリカの歌声が聴こえる―草の葉(抄) (光文社古典新訳文庫)

おれにはアメリカの歌声が聴こえる―草の葉(抄) (光文社古典新訳文庫)

 

 

今までアメリカのシンガーたちは歴史を語る時にインディアンに行く人が多かったように思います。「このウエイトレスを殺したい」と呪いの言葉を紡いだトーリ・エイモスも自分のルーツを探っていった「スカーレット・ウォーク」ではかなりインディアンの比重が大きいと思いました。もちろんインディアンの血が入っている人も多いですし、アメリカの歴史を語る上でインディアンはとても重要だと思いますが、一般的な他所から移住してきたアメリカ人が歴史的なものを見出そうとした時に、インディアンに頼っている部分がかなりあるように見えていました。

そんな中、ラナ・デル・レイが登場します。

私の母はマリリン、父はエルビス、友達はキリストと歌います。

友達はキリストということはラナ・デル・レイはキリストと同等ということです。つまり神の子。よって母のマリリン、父のエルビスは神様。アメリカ版、イザナギイザナミ神話の誕生です。

ラナさんはマリリンとエルビスを神に仕立て、ハリウッドという聖地の中で、アメリカの新しい神話を創造しようとしているのです。

巫女というより卑弥呼アマテラス、凄いコンセプチュアル。

彼女は真のアメリカ人を目指している。

 

ラスト・フォー・ライフ

ラスト・フォー・ライフ